果たしてお笑いは非論理的なのか

就職活動をしていた時に、とあるサイトの掲示板を見ていた。

A:「面接官に刺さるような面白い話ができるようになりたい」

B:「面白いって言ってもどう面白いかによって全然違くない?お笑いみたいなところだったら論理的とはかけ離れてるし」

 

こんな投稿もありました。

A:「コンサルに行く人って面白くない奴が多い印象」

B:「面白いは論理的とは真逆だからな、論理的思考を極めているコンサルが面白くないのはしょうがない」

 

さて、コンサルに人が面白いかどうかは別として、お笑いは果たして論理的ではないのでしょうか?

果たして「面白い」という一つの言葉で括られているものは、非論理的代表であるお笑いと、論理的で関心できる話として、全く別な性質なものを表しているのでしょうか。

僕はここに違和感を抱いたので今日は少しばかり考えてみました。

 

お笑いは相手の予想を裏切ること、そしてそれを納得させることである

お笑いと言っても日常的なものからバラエティでのトーク、ロケ、漫才・コントなど様々あると思います。今回はわかりやすく漫才・コントについて考えてみようと思います。

 

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さて、今回はみなさんにイメージしてもらうために、一つコントを用意しました。キングオブコントにもあった有名なコントですね。今回はこれを題材に、お笑いのロジカルさについて考えています。

 

ボケは相手の予想からそれることで笑いのタネを生み出している

お笑いコンビは基本的にボケとツッコミの役割が与えられていますよね。サンドウィッチマンのボケ担当の富澤さんは「面白い」発言をして聴衆を笑わせていますが、特別なことをしている訳ではありません。やっていることは単純で、聴衆の予想外のことを言っているのです。

 

例えば、上のコントにおいても、

伊達さん(以下伊):「ビッグバーガーセット」

富澤さん(以下富):「ビッグバーガーを千個で」

普通のファストフード店でもよくある、店員が注文を確認するシーン。その日常的なシーンを考えると、富澤さんも確認として「ビッグバーガーセット」と繰り返すことを予想してしまいますが、そこであえて別のことを言うのです。しかも、個人客の伊達さんが注文をする時に、いきなり千個のセットを頼むとは誰も思わないでしょう。

 

ここで大切なのは、予想外のことを言うことなのですが、それをするためには、予想外のことを言うだけではなく、会話をある形で予想させることが必要になります。

上のシーンでも、富澤さんが「ビッグバーガーを」と言った時点で、普通であれば注文をそのまま繰り返すだろう、という予想が立てられると思います。

 

つまり、ボケにおいて重要なのは、聞き手の予想を裏切ることであり、そのためには予想を立てさせることと、立てさせた予想を裏切ることが重要なのです。

 

 

予想外の発言に納得感を与えるのがツッコミ

さて、ボケ担当がやっていることについて考えてみましたが、これだけでは不十分です。

 

例えば上のコントの冒頭において、

富:「いらっしゃいませこんにちは!いらっしゃいませこんにちは!いらっしゃいませこんにちは!」

伊:「ブックオフかっ!」

 

このやりとりも、伊達さんが入店した時に、店員の富澤さんが「いらっしゃいませこんにちは!」と言うのが予想として起こることでしょう。しかし、富澤さんはなぜかそれを3回繰り返すということをやっています。

しかし、これを聞いた時点では聴衆はどう思うでしょうか?「多いな」とか「いきなりなんだ?」とか、挨拶が3回繰り返したことに対してのなんとなくの違和感を覚える程度ではないでしょうか?

 

しかし、そこですかさず伊達さんが「ブックオフか」とツッコミを入れることで、挨拶を3回繰り返すという不可解な現象に対してのある程度の答えを提供し、納得感を与えてくれているのです。

もしかしたら3回繰り返すだけでも予想外のことに対して面白いと思うことはあるかもしれませんが、3回繰り返すことの意味合いがわかることで、なんとなくでも、より面白くなった気がしてきませんか?

 

相手の予想を裏切ることこそが面白い話

以上、お笑いの面白い話について述べてきました。さて、お笑いが面白いというのがどういうことかについて話してきましたが、これは一般的な「面白い話」でも十分言えることだと思います。

そして、同時に、これが実は全くもって非論理的ではないということがわかるでしょうか。

 

相手の予想を裏切ることは、予想をたてさせることと、それを裏切ることの2つに分解することができます。これが基本的な事項に当たると思いますし、面白い話によってそれぞれをどう深堀りするかというのが問題になるのです。

 

少し曖昧な話になってしまいましたが、改めて上のコントを見てみてはいかがでしょうか?

そして、面白くなりたいと思う人は、上のようなことを意識してみてはどうでしょうか?

また、頭がよくなりたいという人も、面白い話を考えながら、頭を鍛えてみてはどうでしょうか?